いとー録

備忘録的な発音で

妄想エンジンで走るビジョン思考

『直感と論理をつなぐ思考法 ーVISION DRIVEN』   / 佐宗邦威

 

題名に惹かれてこの本を購入した。

読み終わって思ったことはこの思考法は社会を変えたい、自分のビジョンを達成したいと強く願う人のために必要な考え方であるという事。

 

思考には4つのタイプがある。カイゼン思考、戦略思考、デザイン思考、ビジョン思考だ。それぞれの違いは分かりやすいイラストや表と共に紹介されているのでぜひ見てみてほしい。

 

今回は初めて触れるビジョン思考についてまとめていこと思う。

まず、簡単に説明すると、「妄想を駆動力に思考していく事で結果的に社会の問題を解決していく」というもの。この思考法では妄想からスタートする事がとても大切とされている。

従来は「今後このようなものが売れるだろうとか、前年はこのようにしてうまくいったから当てはめてみよう」これまでのデータを中心に問題解決をしてきた。しかしVUCAとも呼ばれるこれからのことが予測できないこの世の中では、課題からスタートしてプロジェクトを動かしていては完成する前に世の中の動きが大きく変わってしまうということも十分に起こる。それではどうすればよいのか。

それは「小さい失敗をたくさんすること」「妄想を駆動力にすること」

 

小さい失敗をたくさんする

離職率が高いX社。解決しようと二つのコンサルタント会社を呼び。どちらかと契約をし解決しようと乗り出した。X社に呼ばれたコンサルタント会社A社とB社は「1ヵ月後のプレゼンでどちらかと契約したい」と伝えられた。

A社はX社について徹底的に調べた。そして会社のどこが悪いのか何を改善すればいいのかを自分達なりに考え、残業時間を減らすべきと突き止めた。そしてどうすれば今のままの生産性で残業時間を減らせるのかを考えまとめ、1ヶ月が経った。

一方B社はとりあえず考えられる問題を3つ挙げ、どの方向で進めればいいのかを1週間後にX社に持っていった。すると、ヒアリングの結果、給料の底上げが必要であることがわかった。また1週間後、X社に給料を上げるためにどこのコストカットを行うか、いくつかのプランを持ってヒアリングを行った。それを毎週繰り返し、1ヶ月が経った。

 

どちらの会社が契約されたかは明確だ。

きちんと考えて手を動かすのも必要だが、このような状況の場合、何度も具体化(プランの作成)と修正(ヒアリング)を行うほうがよりX社の希望に沿ったものを作り上げる事が出来る。

 

これは世の中でも同じ事が言える。今日の世の中はは未来の事は不明確であると言われるVUCAの世界と呼ばれている。そんな世の中で先のことを予測して変化していては手遅れになってしまう。ではどうすればいいのか。

それは、ひたすらに手を動かして具体化と修正を繰り返すのだ。

何度も実際に表現し、トライ&エラーを短いスパンで何度も繰り返す。そうする事で、少しずつ軌道修正が加わり、正しい道を歩み続ける事が出来るのだ。

頑張っていたのに世の中から取り残されていたなんてことはなくなるのである。

 

妄想を駆動力にする

トライ&エラーをひたすらに繰り返し、進んでいく。つまり小さい目標を何度も何度も通過して行く事で大きな目的を達成する。そんな長期的な活動の源が誰かに言われて始めた内容であったらどうだろうか。どこかのタイミングで何のためにやっているのだろうと手を止めてしまっても不思議ではない。

何事もそうだが、そんな根気のいる思考法であるならなおさら楽しんでやらないと継続できない。だからこそ、自分の内側から発生した妄想を元に動くのが継続の一番の近道なのである。

思考のスタート地点は社会の問題解決ではなく、自分勝手な妄想のほうがいいということだ。

 

妄想を問題解決につなげる

しかし、ただ自分がやりたいことだけをやっていては、それは世の中や人のためにはならない。出発点は自分のための妄想であっても、それを社会のためにつなげて行く事が大切だ。妄想をどう社会の問題解決に繋げるか、それこそがまさに「直感と論理をつなげる思考法」だ。

ビジョン思考では妄想から始まった考えを知覚、組替、表現のステップを踏む事で社会の問題解決につなげるという。さらに、この4つのステップはサイクルであり、これらを回すことで思考を進めていくのである。それに関する詳しい部分はまたいつか。

 

この不明確な未来を生き抜くためには妄想をエンジンにトライ&エラーを何度も繰り返していける、このビジョン思考こそが必要なのではないだろうか。